• 歳時記

絵と布の画廊歳時記2017年5月6月号

清滝や波に散りこむ青松葉 松尾芭蕉

 

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児島善三郎 「激流」 1937年頃  4号 油彩/板

 

 

六月も半ばを過ぎてしまいました。歳時記のお届けがぎりぎりに成ってしまいました。現在開催中の「縄文シャワー展示室展」の準備に丸一ヶ月ほどかかってしまいました。思いつきのように始まった企画でしたが、国分寺市教育委員会の協力に加え、まとまったコレクションの譲渡にも恵まれ随分と立派な展覧会にすることができました。七月九日まで開催しておりますので是非見にいらしてください。土器類の他にも彫刻や絵画、古裂も展示しております。日本人の気質の底流に流れ続けている伏流水のようなものですので、大事に考え検証して行こうと思っております。

さて、掲載の「激流」は最近初めて出会った作品です。昭和10年代初期の代表作に「渓流A」「渓流B」という作品があります。一点は衆議院議長公邸に、もう一点の方は愛知のメナード美術館に収蔵されている名品です。今回の作品は、そのエスキースの一つで、他にも以前手に入れた4号の板絵の油彩や水墨画や素描など数点が現在手元にあります。それだけ、力を入れて構想を練った作品だったことが窺われます。

掲載の芭蕉の句は辞世の句として有名な「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」を書き取らせた後に弟子達を再び枕元に呼び寄せ以前に詠んだ「清滝や波に塵なき夏の月」の改作として書き留めておくよう詠んだ最後の一句と言われています。

以前から考えていたことですが、善三郎はこの芭蕉の句を相当意識していたのではないかと思っています。ヨーロッパ留学から戻ってから常に追い求めていた「日本人の油彩画」「東洋の洋画」の完成を目指していた画家にとって俳聖芭蕉が人生の最後に詠んだこの一句は、まさに縄文の心、自然と人間が隔たりを全て取り去り一体となった境地そのものに映ったのではないかと想像致します。「散りこむ青松葉」の松葉は松尾芭蕉の頭文字マツバとかかっていて、自らが散りゆく姿を強風に煽られ流れに潔く散りこむ松葉と重ねあわせた芭蕉の死生観を表していると言われています。

 

 

佐藤尚子展をふりかえる 

4月15日〜30日までの2週間にわたり開催しました「Shoko ヌリエ Mosaico」展は、延べ200人を超える方々にご来場頂き、好評のうちに終了致しました。原画を然るべき環境で一括保管しつつも、尚子さんのヌリエの素晴らしさを多くの方と共有したいという目的のもと、尚子作品の版画を「兒嶋画廊エディション」として発表、販売致しました。会期中に20数点をお買上げ頂き、売上の一部を著作権使用料として尚子さんご本人に還元する事ができました。版画は、引き続き兒嶋画廊のホームページでもご購入頂けます。尚子作品を世界に広めていく活動を今後も続けていくとともに、アートと障碍者自立支援の在り方も模索してまいりたいと考えております。より一層のご支援を賜われましたら幸いです。

 

 

縄文シャワー展示室展

6月9日から「縄文シャワー展示室展」が始まりました。縄文土器群と、縄文文化に影響を受けた近現代の作家の作品が同居するパラレルワールドが、丘の上APTに出現しています。太古から現在に繋がる生命の鼓動と魂の息吹が充満しています。7月9日までですので、是非ご高覧下さい。

 

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縄文土器 深鉢         土偶(国分寺市教育委員会蔵)

 

 

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今年も開催!「丘の上APT野見の市」

真夏のマルシェ「丘の上APT野見の市」は、今年で3回目となります。夏らしい切子の器など、新たに参加する作家も迎えてより一層の充実が期待されます。毎回好評のソルティードッグパーティも開催致します。是非お越し下さい!「何かが変わるエネルギー見つける!!」

「丘の上APT 野見の市 2017 summer」

8月4日(金)、5日(土)、6日(日) 12:00 ~18:00

5日(土)16:00- 冷え冷え!ソルティードッグパーティー

 

 

新着コーナー

O-7_圧縮

奈良美智 「untitled」   コラージュ・水彩            21.7 × 22.0cm 1992年

 

劉生お松

岸田劉生「村嬢」素描 12.5 × 8.0 cm

 

梅花の女神_圧縮

冨田渓仙「羅浮仙」