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絵と布の画廊歳時記 13年1・2月合併号

松風に玉取終へし神の楽
──斉藤摘萃

 

筥崎宮

児島善三郎《筥崎宮》着色水墨 1941年頃

 

あけましておめでとう御座います。

本年も一年よろしくお付き合いのほどお願い申し上げます。

 

今年こそ新たなる変革の年になり、日本中に元気が満ち溢 れるようになってほしいものと願っております。

そんな思いから福岡の筥崎宮に伝わる新年の神事「玉せせり」を取り上げました。

新年の1月3日に行われる玉 せせりは室町時代より続く伝統ある行事で、

陰陽ある二つの大きな木で出来た玉は洗い清められた後、玉取恵比寿神社に運ばれ、

そこから陽玉だけが競り子たち に渡され、

陸組と浜組とに分かれた締め込み一つの男たちの手でもみ合いながら

本宮の楼門下で待つ神官の所まで進みます。

陸組が勝てば豊作、浜組が勝てば豊 漁とその年の天の恵みを占います。

水をかけられた男衆から立ち上る湯気が新年の寒気を吹き飛ばします。

 

筥崎宮は総社宇佐八幡宮と共に三大八幡宮に数えら れ、応神天皇を祭るとされますが、

宗像大社などと共に大和朝廷以前からの古い九州の守り神でもあります。

水墨画で大きな一之鳥居と狛犬が描かれている掲載 の絵は、我が家でよくお正月にかけていたものです。

松の緑が目に鮮やかで気持ちが改まります。

お隣の鉛筆書きのデッサンはまさに玉せせりを描いたもので、 雑誌「群像」の表紙の為のエスキースです。

「群像」は戦後すぐの昭和21年10月に講談社が刊行を始めた文芸誌ですので、

この画題選択と構図は時宜に適っ たものだったと思われます。

ちなみに今年は陸組みが6年連続で勝利し、無事玉を神官に手渡すことが出来たそうです。

 

玉せせり

《玉せせり》エスキース

 

||||| 年頭雑感 |||||

 

初夢 宝船

 

七福神

児島善三郎《七福神》着色水墨 個人蔵

 

政権は自民党に戻り、

安倍総理はいよいよデフレ脱却に向けて不退転の覚悟で立ち向かう決意のようですが、

うまくいくように心底から願っています。

し かし早くも各方面から金融政策だけで解決できる問題ではなく、

借金漬けを市場に嫌気され見透かされれば逆にハイパーインフレを呼び込む事になりかねないと 危惧されています。

そうなれば国は滅びます。

この20年間、誰もできなかったことが安倍、麻生二氏の再登板でできるのでしょうか。
その失われた時間の中では我々を取り巻く様々な価値観が変化し、

私たちの生き方そのものにまで深く影響を与えていると思います。

 

元に戻ろう、元に戻そうと いう考えを打擲しなければなりません。

騒がれたマヤ歴騒動ではありませんが、本年があらたな時代の始まりと考え、新しい宝舟を作りましょう、

偶然かもしれ ませんが今年は20年に一度の伊勢神宮と60年に一度の出雲大社の遷宮が重なります。

真っ新な白木の本殿が現われます。
どだい、過去の経験知と統計、確率で未来を予測しようと考えるから、地震にしろ原発やテロへの対策、

経済などすべて間違えたのですから、

新しい舟には新し い酒と本当に大事な人類の宝だけをより選って積んで出かけましょう。

 

新しい酒が琥珀色に耀きはじめ芳醇な香りを醸し出すころには、

弥勒の知恵が世界を包み 始める事になるはずです。
とはいっても、まずは出来るところから始めましょう。

全人教育の喪失、日本的霊性や情緒の消滅などが日本人を堕落させ、

中芯が抜け落ちてしまったような状態にしてきたのですから。

丹田に気をおろし、頭ののぼせを取り祓い、五感の働きを取り戻しましょう。
縄文の昔から私たちの中で育まれてきたパワーを覚醒させましょう。
世の中を変えるには、まず私たち自身が変わらなくてはなりません。

 

めでたついでに宝づくしの筒描半纏をご覧下さい。

 

宝づくし宝づくし

 

||||| お知らせ |||||

 

本年より節約も兼ねて歳時記は隔月発行とさせて頂きます。

 

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