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兒嶋画廊所蔵 志村ふくみコレクション -光彩陸離- 展 / Professional dying and weaving artist Fukumi Shimura works exhibition

ご来場ありがとうございました。展覧会の様子はこちらからご覧頂けます。

 

 

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兒嶋画廊所蔵 志村ふくみコレクション -光彩陸離- 展

会場  丘の上APT

    東京都国分寺市泉町 1-5-16

            Tel. 042-207-7918

会期  11月3日(月・祝)〜12月14日(日) 休/月曜 ※祝祭日営業

開廊  12時〜18時

    着物、額装小裂、他25点余りを展示

    会期中一部展示替えあり

 

深く広大な風景を生み出す着物=芸術     武蔵野美術大学教授・柏木博

 

展覧会にさきだって、志村ふくみの作品「紅芙蓉」「麗宮」「藍熨斗目」「杜若」を見ることができました。

茜色の美しさとはこれかという「紅芙蓉」。

パウル・クレーの抽象画を想起させる、そして広大なシルクロードの風景を見たときの記憶を呼び起こしてくれた「麗宮」。

浅黄色の繊細な変化を見せる「藍熨 斗目」。

そして、若草色から深い緑をもった「杜若」。

これらの作品を前に、実に、密度のある時間をすごすことができました。
いずれも、着物という実用を持った作品だけれど抽象的な現代美術の作品として鑑賞しました。

そこには色彩と素材、そして構成による充実した空間が存在します。

色彩の深みと遠近、そして広大な風景を見る思いがしました。
これほどすばらし着物ですが、紬は正装ではありません。

それを日常着として使ってもらいたいという志村の思いがあるのかもしれません。

 

志村は、これまで一貫して紬の着物を制作し続けてきました。

けれども、その作品は、「着物」という機能を充分に持ちながらも、それが芸術表現として成立しうることを、

鮮明に示しました。
絹糸を紡ぎ、草木から抽出した色彩で糸を染色するという地道な作業を志村は続けてきました。

草木、つまり藍や団栗、紅花や梔など多くの植物から抽出した色彩を用います。

草木から、自分の思いどおりの色を取り出すことは、きわめて困難なことです。

というのも、それぞれの植物を煮出す時間の長さ、また煮出す温度によって色彩は微妙に変化するからです。

さらには、媒染液のちがいによっても、発色は異 なってきます。

その複雑きわまりない、そしてデリケートな植物による色材を、志村は圧倒的な技術を駆使することで、

自らの思いどおりの色を実現します。こ のことは、それだけでも驚異的なことだといえます。
絹糸を紡ぎ、その糸を植物から抽出した色で染め、平織り(紬織り)にする。

それは実のところ、もっとも古くからある織物のつくり方です。

 

志村は、その素朴 で、簡潔な技法によって生まれた布から着物を作り出すことを一貫して続けてきました。

それは、自然とともに現代の思考や感覚を映し出すものとなっていま す。
なお、志村ふくみは、1955年31歳のときに織物をはじめ、

染織家の稲垣稔次郎や、柳宗悦の民藝ともかかわった木工芸家・漆芸家の黒田辰秋、陶芸家の富 本憲吉らと出会っています。

そして、57年には第4回日本伝統工芸展で入選をはたし、

その後、奨励賞、文化財保護委員会委員長賞などを次々に受賞し注目さ れてきました。
また、1983年、著作『一色一生』は第10回大佛次郎賞を受賞。

1999年、『かたりかける花』は日本エッセイスト賞を受賞。

志村は文章の世界でも高く評価されてきました。なお、今年度、「京都賞」を受賞したことを加えておきます。

 

 

是非ご高覧下さいますようお願い申し上げます。
丘の上APT 株式会社兒嶋画廊

 

 

Gallery Kojima Collection

Professional dying and weaving artist Fukumi Shimura works exhibition

 

Dying and weaving artist Fukumi Shimura, born in 1924, turns 90 years old this year.

 

She creates a beautiful harmony of lights and colors on the loom by extracting the color from plants and dying silk threads indigo, all by hand. Silk weaving has always been one of the common traditional handwork techniques in many parts of Japan, however, the works had never been recognized as art since they were usually done in dingy colors and boasted unattractive splashed or striped patterns for designs. After Fukumi Shimura started weaving in 1955, influenced by her mother, she created her own world of silk weaving with her rich colors, striped patterns and geometric shapes inspired by Western artists like Paul Klee or Josef Albers and Eastern artists such as Muneyoshi Yanagi, who was the founder of the Japanese Mingei (folk craft) movement. She has made a great achievement in bringing silk weaving to the artistic level.

She also plays an active role as an essayist and has won a number of literary prizes.

 

In 1990, she was recognized as one of the Important Intangible Cultural Properties Holders (National Living Treasures) and was certified as a person of cultural merit in 1993. This year, she won the Kyoto Prize (a Japanese award similar in intent to the Nobel Prize) which is founded by Inamori Fellowship.