• 歳時記

絵と布の画廊歳時記2018年5月6月合併号

涼風や青田の上の雲の影  去六

 

0380+5001017青田

児島善三郎「青田」10号 1950年 個人蔵

 

赤米3

赤米

 

梅雨入りしたかと思うと、いきなり台風が来るという異常さにもあまり驚かなくなっているこの頃で、
これもお天道様の気まぐれディールかなんて思っています。
そんなせいか、ここ二、三日は梅雨前線も南下し、オホーツク高気圧から冷気が流れ込んできて20度を切るようで、
何か一枚羽織らないと首をすくめてしまうような涼しさです。
東北地方では山背と呼んでおそれられているあれです。
 
画面の青田は国分寺のハケ下のわずかな低地に野川を挟んで存在した田んぼです。
存在したとあえて書いたのは、今は埋め立てられ見る影もなく一面の住宅になってしまっているからです。
この絵が描かれた昭和25年頃を境に、まずは丘の上部から住宅が増えだし、そこから出る汚水の影響で川は汚れ、
田んぼも富栄養化し耕作放棄を招き、昭和30年頃には田んぼは埋め立てられ家がどんどんと作られてゆきました。
この絵を描いた翌年には善三郎もアトリエを杉並に移しています。
私が記憶する限りでは、あれほど愛した国分寺の風景を二度と訪れていません。
 
今、この絵を眺めていると、梅雨の雨を集めて画面中央を溢れるように滔々と流れる野川の流れが愛おしくてなりません。
両側の田にはたっぷりと水が引かれ川と田は一体となっているように見えます。
画面の中全体が一つの生態系を形作り億千万の生命に溢れているのです。
以前にも書きましたが開発という津波によってその全てが奪い去られてしまったのです。
 
今年は国分寺の有志の方々の熱意に感動し、
千年以上守り継がれてきた国分寺の赤米のモミをタライのなかに作った水田に蒔きました。
無事芽吹き今は青々とした苗が25センチほどの背高に伸び小さな小さな青田を形作ろうとしています。

 

 


 

 

「縄文シャワー展示室展Ⅱ」のご案内
 
昨年に続き同展を開催します。
上野の国立博物館でも7月3日から「縄文一万年の美の鼓動」展が開かれます。
私たちの中に確実に生き続けていた縄文の力が解き放たれようとしています。
パラレルワールドとしての縄文の世界をご一緒に再発見いたしましょう。

 
「縄文シャワー展示室展Ⅱ」
会期: 6月29日(金)〜8月10日(金) 月祝休
時間:12時〜18時
会場:丘の上APT/兒嶋画廊 入場無料
協力:国分寺市教育委員会
 
詳しい情報は>>>展覧会情報「縄文シャワー展示室展Ⅱ」

 


 

 

<新着コーナー>

 

児島善三郎 郊外爽秋 6号 1951年

児島善三郎「郊外爽秋」油彩/キャンバス6号1951年

 

善三郎 帯地薔薇トリム 40.3x31.0cm

児島善三郎「薔薇」油彩/帯地

 

古賀春江

古賀春江 水彩/紙 22.0×27.7cm
(この作品についてのお問い合わせは>>>こちら

 

赤瀬川コラージュ

赤瀬川原平 コラージュ 1960-63年頃

 

赤瀬川_模型千円札

赤瀬川原平 模型千円札Ⅲ 1963年

 

No.1508_藍型染め合羽面

(表地)

No.1508_藍型染合羽裏

(裏地)

藍型染め道中合羽

 

牛

坂本繁二郎 「牛之図」 掛軸