• 歳時記

絵と布の画廊歳時記2018年9・10月合併号

行く秋や手を広げたる栗のいが 松尾芭蕉

 

高島野十郎_柿と栗_歳時記

高島野十郎 柿と栗 10号 1959年

 

大型台風二つが通り過ぎやっと秋らしくなるのかと期待しておりますが、
きびしい残暑の中でも秋果は恵みを忘れず私たちを喜ばせてくれます。
 
この絵を描いた高島野十郎は祖父と同じ福岡県の出身で年は三つ上です。
二十年ほど前までは画家として全く無名に近く知る人はほとんどいませんでした。
東京帝国大学の農学部水産学科を首席で卒業後、周囲の期待をよそに独学で絵を描き続け、
画壇との接触も断ち独自の写実画の道をあゆみました。
先だって、テレビ番組でロウソクの絵を中心に紹介されていたのでご覧になった方もいらっしゃると思います。
この作品を見ても、善三郎と同時代の画家とは思えないほど、当時の画壇の潮流と無縁だったことがわかります。
まさに己が道を行くという一徹さで85歳という高齢まで制作を続けました。
1980年福岡県文化会館で開催された遺作展がきっかけとなり没後の評価がたかまり、
孤高の画家として現在も人気が高く、市場での取引価格も年々上昇を続けています。
 
四季の移り変わりを克明に捉えた風景画の他にも、煙草の煙や日輪の輝き、
雲ひとつない夜空に浮かぶ満月の輝きなど、つねに常人とはかけ離れた目線で自然や現象を捉え、
ただの写実とは異なり、生命の実相を描き切ったと言えると思います。

 


 
「縄文シャワー展示室展Ⅱ」
 

8月10日までの縄文シャワー展示室展は会期終了後も展示を続け、
たくさんの方々に縄文の魅力を堪能して頂くことが出来ました。
来年もまた頑張る予定にしております。近所の子供達も喜んでくれました。
 


 
「赤瀬川原平未発表コラージュ展」
 
10月24日から12月9日まで、丘の上APTが立つ国分寺にもゆかりの深い赤瀬川さんの
二十代のコラージュ作品19点と模型千円札作品や零円札などを展示します。
1960年から63年にかけて制作されたコラージュ群は1963年に「あいまいな海について」というタイトルで
新宿第一画廊において発表されました。
その時の案内状に千円札のレプリカが使われたことが、それからの裁判闘争のきっかけになりました。
 
ネオダダ展やアンデパンダン展などに出品された「ヴァギナのシーツ」や「患者の予言」などの
大型タイヤのチューブを使った作品群は内臓や性器を思わせるもので、
生命創造以前の機関としての肉体を表しているように見えますが、
デカルコマニーや卵型のコラージュと同時に細密描写による胎児の姿や高速で動く点の連続に乗って移動する肉体の一部が登場するこの作品群においては
人体もしくは人が生まれながらに持っている発生というメカニズムへの共感を見ることができると思います。
そして発生のメカニズムの原点とも言える分裂と複写へと発展し、
どこでどうなったのかわかりませんが千円札の模型複写という行為に繋がったのではないかと想像しています。
展覧会ご高覧いただけるようお待ちしております。
 
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詳細はこちら↓
赤瀬川原平 未発表コラージュ展

 


 

新着コーナー
 

松本竣介_少女_歳時記
 
松本竣介「少女」1943年
木炭・鉛筆・ペン/紙 35.8 x 27.9cm

 

福井パンジー4号歳時記
 
福井良之助「パンジー」油彩/キャンバス 4号

 

棟方志功_妃天芸妙技歳時記
 
棟方志功「妃天芸妙技」 色紙に肉筆
バレエダンサー谷桃子氏宛の為書有り

 

楢重帯  楢重帯2
 
小出楢重 手描き帯 刺繍有り

 

紅型_歳時記
 
琉球紅型小裂 51 x 39.5cm