古くより縄文文化の遺跡などが多数発掘されたこの国分寺で、
土器片などに触れながら縄文の影響を受けたと思われるアート作品と共に
縄文文化の美意識に思いを馳せる展覧会です。
縄文土器や、土器片、縄文文化の影響を色濃く受けた作家の作品(岡本太郎や勅使河原蒼風他)、
アイヌや沖縄の工芸品や染織品などを展示します。
会期:2017年6月9日(金)〜7月9日(日) 月祝休
※オープニングパーティー 6月9日(金) 17:00〜20:00
時間:12時〜18時
会場:丘の上APT/兒嶋画廊
兒嶋画廊の縄文コレクションは>>>こちらのアーカイヴ https://jomonshowerlab.tumblr.com/でご覧いただけます。
1万年前の人たちの声に耳をすます
縄文土器は、1万5千年ほど前にはじまって、なんと1万年以上も続きます。
その文様は、時代や場所による変化も見られますが、
縄模様や渦巻きなど基本的にはほぼ同じ様式が使われています。
いずれの文様も「線」によっています。
歩くこと、歌うこと、物語ること、そして文字を書くこと、
それらは始まりから終わりに向かっていく「線」の流れにしたがっています。
縄文の文様も同じです。
文字を持たなかった縄文の人たちは、文様で何かのメッセージを残したのでしょう。
文様によって、そのメッセージが1万年にわたって、
人からひとへとつなぎ止められてきたということです。
過去の記憶を切り捨てて置き去りにするのではなく、
繰り返し同じメッセージを復元することで、
縄文の人たちは、その声が発せられた過去の世界との対話をし、
その世界に参加し続けたのです。
縄文土器に残された指のあとに目をこらし、耳をすますと、
1万年前の人たちの声が聞こえてきます。
柏木 博(デザイン評論家)
縄文時代は世界的にいうと新石器時代を指し、
この時期、人類はどこでも似たような表現行為をしていたから、
世界のどこでも土器と石器は作っていたが、
なぜか日本列島では石器にたいしたものはなく土器こそ優れていた。
世界中の博物館、美術館に石器時代の遺物を訪れてきたけれど、
大きさはむろん表現においてはなおさら、縄文土器は群を抜いている。
そればかりか、それ以後の表現行為の歩みの中で、
日本列島の住人は縄文に始まる美学を大事にし、
新しい美意識も縄文の上に重なり積って、列島の美は具体化してきた。
日本の伝統美の終着地ともいえる琳派や北斎にあっても
縄文土器と同じような渦巻く曲線は生き続けている。
その一番の理由は、土をベースとした表現だからではないか。
列島の人々の意識の底には今も、土がたまっている。
藤森照信(建築家・建築史家)